日本の近代文学成立の曲折を考える評論第9巻。漱石と国家、"明治の精神"の関係を論じ反響を呼んだ「徴兵忌避者としての夏目漱石」など漱石論の集大成のほか、鴎外・花袋らの作家論、「花柳小説論ノート」などを収録。

内容:徴兵忌避者としての夏目漱石 . 慶応三年から大正五年まで . 忘れられない小説のために . 三四郎と東京と富士山 . あの有名な名前のない猫 . 『坊つちやん』のこと . 趣向について . 文学事典の項目二つ . 花柳小説論ノート . 茨の冠 . 男泣きについての文学論 . むかし物語のここちもするかな . 美談と醜聞 . 小説的結末 . 雪国の小さな図書館で . 空想家と小説 . 二つの『細雪』論 . 『細雪』について . 一双の屛風のやうに . 批評家としての谷崎松子 . 菊池寛の亡霊が…… . 誰も里見弴を読まない . ある花柳小説 . 里見弴の従兄弟たち . 長篇小説作家としての岡本かの子 ほか3編