なちかつ
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 高齢化とか少子化とか、言葉だけはずっと以前から言われていてだれもが知っていたことだが、それがどんな社会かいよいよ現実味を帯びて見え始めてきた現代、もはや取り返しがつかない時期に入ってしまっていることに愕然とする。有効な対策がとられないままに、生産年齢人口の減少と高齢化率の上昇はセットでやって来た。想像力の欠如だけではないだろう。国民も政治もそのときどきの課題にとらわれて、この数十年間無策だった。楽観的に待っていた90年代後半から2000年代にかけての第3次ベビーブームはとうとう来なかった。

それはこの国が、当たり前に働いて結婚をし、家族を養っていける国ではなくなってしまったということか。人口問題は貧困の問題と密接に関係しており、貧困問題は経済のグローバル化や国際競争の激化による労働環境の悪化とつながっている。また、高齢人口の増大に伴う社会保障費の世代間格差も若年層への財政的支援を圧迫している。

 本書を読んで思ったのは、この国の社会のゆがみだ。特効薬はない。これまでのような場当たり的、一時的な「処置」でなく、将来にむけて国としてどんな制度を打ち立てていくのかという「対策」が求められている。まもなく「高齢者」の仲間入りをする私なども、子や孫の世代のため、よくよく覚悟を決めなければならないということか。やれやれ。 

2024年 (令和6年)
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