なちかつ
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 ギャングがはびこる町に暮らす黒人で女子高生のスター。ある晩、スターと一緒にいた幼なじみのカリルが白人警官によって一方的に射殺されてしまう。彼女の目の前で起こったこの事件は、事実と異なって報道されていく。事件によって徐々に変わりゆく周囲と、スター自身の心。スターは覚悟を決めて立ち上がる。カリルの声となるために。
 現代アメリカ社会の暗部を鋭く描き出した作品。根深い人種的偏見、貧困、ドラッグ、暴力、銃・・、“The Hate U Give Little Infants Fucks Everybody”<子どもに植えつけた憎しみが社会に牙をむく>。この悪循環、負の連鎖を人びとは断ち切ることができるのだろうか。物語はハッピーエンドにはならないけれど、スターが前を向く姿に小さくとも確かな希望の灯りを感じて、さわやかな読後感を得る。作品ではスターの両親、家族、親戚、学校の友達、ボーイフレンド、弁護士などいずれも個性的な人々が登場する。彼らのしゃべり言葉や行動がとてもリアルに描かれていて、現代のアメリカ人の日常を目の前で見るようだ。

2024年 (令和6年)
3月29日(金)
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