なちかつ
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 下巻は江戸時代後期から戦後まで。文学史とは言うものの、社会史、思想史に係るあまたの資料(農民一揆の檄文も)を取り上げて、時代の社会的背景を踏まえながら述べる。述べるからには当然読んで考察したのであろう、その読書の量と質に圧倒される。また、江戸後期以降は文献が多く残っており、特に明治以降は発表・出版される著作物も膨大なため、著者がだれのなにを取り上げなにを取り上げなかったかも興味深いところである。巻末に上下巻通しの「人名索引」「事項索引」があり、事典のように本文にあたれる。

 著者あとがきに、“文学の発展のすじ道は、全体としては、文学外の条件を考慮しなければ、明らかにすることができない。著者はここで、日本の土着的世界観が外部からの思想的挑戦に対して各時代に反応してきた反応の系列を、それぞれの時代の社会的条件のもとで、その反応の一形態としての文学を通じて、確かめようとしたのである”とある。うーん、タフな読書だ。

2024年 (令和6年)
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