コートから外れて落ちてしまったもも色ボタン、アパートのドアのノブさん、バイオリンを作る途中で削り取られた木片、男の子の筆箱の中の赤青えんぴつなど、小さな無生物たちが主人公の短編集。ふだん注意すら向けないモノたちがこんな思いをもっていたのかと、不思議で新鮮な気持ちに包まれる。自由に想像することのおもしろさを。