なちかつ
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 「独居老人」「孤独死」など、まるで「ひとり」が社会悪であるかのような昨今の風潮がある。ひとりでいることは悪いのか。そうではないだろう。今の時代ひとりで生きるという意識、覚悟が希薄になってはいないか、というのが著者の思索の始まりだ。「ひとり」は「孤独」とは違う。ひとり座る、ひとり考えるの心構えをもった自立した人間として、社会の中で生きるということだ。筆者はそのいくつかの典型を鎌倉時代の親鸞、道元、日蓮、法然、一編らに見出す。彼らの思想については、にわかには理解に至らないが、当代随一の宗教哲学者の手引きで彼らの「ひとりの哲学」をたどるのはそれなりに楽しい読書体験だ。わたしも「個」として自立し、「ひとり」で生きていく確固たる基盤に立つことのできる人間でありたい。ふだん思いもしないことをちらっと思った。

2024年 (令和6年)
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