おもしろい。著者は九州出身で中学生の息子を持つ母親である。けっして上品とは言えない文章から腹の据わった母ちゃんといった感じがする。連れあいは大型ダンプの運転手で、ごくふうつの夫婦と子ども一人の中流家庭だが、この一家は日本ではなくイギリスのある地方都市で暮らしている。そして母ちゃんの連れあいはアイルランド人(ホワイト)だ。息子の「ぼく」は明らかに母ちゃん似で東洋人(イエロー)の顔立ちをしている。書名はそんな「ぼく」の存在を表している。ブルーというのは人種差別を受けたりしていやな気分になることもあるという意味だ。ところがどっこい、「ぼく」はなかなかたくましい。地域トップのカトリック校でなく公立の元底辺中学校(殺伐とした英国社会を反映するリアルな学校)へ通うことに決めた「ぼく」は、母ちゃんたちの心配を尻目に、友だちとの関係を深めながら充実した日々を過ごしていく。この本はそんな「ぼく」とぼくを見守る母ちゃんの心の成長の記録である。
青少年をめぐる問題行動、貧困などは日本も同じだが、人種差別や階層格差社会といった問題はそれが世界標準かという気がした。「息子の人生にわたしの出番がやってきたのではなく、わたしの人生に息子の出番がやってきたのだろう」のすてきなせりふは著者の言。