16世紀、イベリア半島からイスラム勢力が追い出されようとしていた時代のスペイン・アンダルシア地方が舞台。8世紀にイスラムがこの地方に入って以来、キリスト教徒とイスラム教徒は平穏に共存していたようだ。レコンキスタ(国土回復運動)とはキリスト教国の絶対王政が中央集権的な国家を作り上げるために、宗教の純化を利用したのかもしれない。弾圧はモリスコ(キリスト教に改宗した元イスラム教徒)にまで及ぶ。そんな時代の中で、家族ぐるみ友人として暮らしていた二つの家族(キリスト教徒とモリスコ)は過酷な運命に翻弄される。互いの信仰や習慣を尊重しながら平穏に暮らしていた生活は破壊され、憎悪ばかりが膨らんでいく。引き裂かれた二家族の末息子と末娘の生涯の恋心が切ない。現代でもなお解決されない問題。宗教とは人を不幸にするためにあるのだろうか。タイトルの太陽はキリスト教を、月はイスラム教を表している。
なちかつ
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