なちかつ
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 そういえばこの国には一億総中流という言葉がかつてあった。実際にそういう社会だったのか、それともそういう社会をめざしていたのか定かではないが、はっきり言えることは、今のこの国の実情はそれとは遠くかけ離れてしまったということだ。「勝ち組・負け組」「自己責任」「将来不安」などの言葉に象徴されるように、気がつけば今、私たちはきびしい「格差社会」「分断社会」に生きている。その息苦しさは、いじめ、児童虐待、少数弱者への不寛容など、深刻な社会問題の温床になってはいないだろうか。本書は現代日本社会の格差問題について、どんな困った問題が起こっているか、なぜ今のような状況になってしまったか、これからどのような社会をデザインしていくか、などのことを考えるきっかけを与えてくれる。短くて読みやすい本だ。まもなく18歳で成人となる。若い世代にぜひ読んでもらいたい。

 印象に残ったフレーズ、“税への抵抗が強い社会は、誰かのための負担をきらう「つめたい社会」”、“小さな政府、貧弱な社会サービスこそ、高い貯蓄率を生んだ大きな原因”、“「必要の政治」とは受益感を高めながら租税抵抗を緩和するという戦略”。

2024年 (令和6年)
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