江戸の世が終わってわずか十数年の明治10年代、理想に燃えて新しい国のかたちを描いた憲法草案が全国各地でつくられた。五日市憲法はその一つである。この時期の人々の自由民権への熱い思いは大したもんだ。豪農層を中心とした庶民が西洋近代政治思想を学ぶため、学習に学習を重ねていたことに改めて感動する。本書は五日市憲法が農家の蔵から発見されたいきさつ、そこに書かれていた内容、そして起草の中心人物千葉卓三郎の足跡を追う。
現在の日本国憲法につながる伏流はしかとある。
*企画展示『今こそ考えよう日本国憲法(このくにのかたち)』から