名脇役と謳われた女優沢村貞子、明治41年生まれ。その自伝。生家は東京浅草の役者一家。いかにも江戸っ子らしいキレがある。それにしても文章が上手い。プロの物書きのようだ。そして語られるに値する壮絶な半生。大正昭和の重苦しい時代、人並み外れて強い意思と潔癖さを持った女性が、自分に誠実に生きようとしたことで味わった体験のすさまじさにたじろぐ。「私は、私の青春を充分なやむことができた」
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赤羽末吉さんはこの絵本を描きあげるのに7年もかかったという。お話に出てくる機織り機を描くために、東北地方はじめ各地の博物館を調べて回ったり、さらにその機織り機が使われていた時代、地方の人々の服装や暮らしぶりを調べたりしていたらそれぐらいの時間がかかったそうだ。なぜそこまで?、赤羽さんは「絵描きが、編集者に助けてもらいながら、七年かかってやっと一冊の絵本を作る。なんで不思議なことがあろうか。いいか、相手は子どもなんだぜ」と。“相手は子ども”、描かれた絵が本当かうそか子どもにはわからない。だからこそ、手抜きは許されない。ほんものを描く。そんな子どもへの誠実さ、プロ意識をもって作られた絵本をぜひ読んでみてください。
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この本は2007年から2019年まで「わかやま新報」に連載された筆者のコラムを単行本にしたもの。内容は、和歌山の歴史、文化、産業、教育、スポーツ、国際交流など多岐にわたっている。
筆者のやわらかな語り口に案内されて、ふるさと和歌山の時空を気の向くままあちらこちらと訪ねてまわる。すると何とも心地よい気持ちになる。それは、今まで知らなかったふるさとのよさに気づかされるから。県内のいたるところに、キラッ、キラッと光るエピソードがある。和歌山、なかなかやるじゃないか(意外?)。しかし、輝きを発しているのは、もちろん「人」だ。人のあらゆる営みにおいて、和歌山にもこんなに多くのキラッと輝いた先人たちがいた。そんな紀州人に出会う読書。
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