すごい本である。語りに力がある。今の時代には非常に特殊な生き方と言えるマタギ猟師を生業に選んだ著者が、その仕事ぶり(生き様)をじつにしっかりした言葉で語っている。描写がすぐれている、というよりも著者の生き方そのものに力がある。久保さんは非常に優れた物書きだと思ったが、その前に非常に優れた羆撃ちである。北海道の厳しい自然の中、単身山に分け入り、何日もかけて羆や鹿を追う。そして必ずと言っていいほど獲物を得る。得た獲物は自然への礼節を持って解体し、食す。その過程がていねいに語られている。筆者の自然や獲物に対する考え方、真摯な姿勢に感動した。そして猟犬フチである。人と犬がこれほどまで心を通わせ合うことができるものだろうか。フチとの素晴らしい時間があった分だけ、フチを失う時の悲しみと自責の思いは深いものがあった。これもまた、読む者の心を激しく打つ。
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科学者が着るような白衣に、ピカリと光る丸眼鏡、両肩の上でくるりとカールしたへんてこな髪型の女の人。山田菜の子先生。学校中のどこにもいないけれど、学校のどこかにいる。菜の子先生はまるでメアリー・ポピンズだ。いつの間にか現れたと思ったら、さっきまでとは違う不思議な世界が広がっている。子どもだけが入れる空想の世界。菜の子先生は威厳があってちょっととっつきにくい。だけど、いつでも子どもの味方だ。自由奔放に空想の翼を広げる楽しさを味わおう。
続編 『菜の子先生は大いそがし!』、『菜の子先生はどこへ行く?』、『菜の子先生の校外パトロール』もどうぞ。
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子ども向けに書かれた本なので大変わかりやすい。しかし、侮るなかれ。内容はポイントがよく押さえられており、なるほどそういうことだったのかと、目からうろの心地よさ。たとえば、常態語に「お・ご」を付けると美化語になるのだが、「お米、お知らせ」のように和語には「お」を、「ご入学・ご参加」のように漢語には「ご」を付けるのだそうだ。また、カンちがい美化語の例として、ふつう外来語には「お・ご」は付けないのだが、一部「おトイレ・おズボン」など少しずつ日本語になじんできたことばもある。でも、「おテレビ」や「おメール」はまだない。もう一つ、このごろ気になっていた変な丁寧語も一刀両断で胸がスカッとした。どういうことかというと、人に何かしてもらいたいときに「~してもらっていいですか」という言い方。丁寧そうなんだけれど、何で許可を求めるんだと違和感を感じていた。「~してください」でいいのに。「その本取ってもらっていいですか」。「いやですぅー」と言ってやろ。
けっこういいお値段の本です。図書館で借りて読みましょう。全5巻そろっています。
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