年11月、政府は急に、働き手が足りないから外国人を労働者として受け入れる法案を国会に提出。この法案は、短期間に、十分議論されることもないまま、12月に国会を通過してしまいました」と内藤氏は書いている。著者の心配は一言で言うと「来るのは労働力ではなく人なんです」ということだ。長年ドイツにおけるトルコ移民の実態について研究してきた著者が、今後日本で起こるであろうと思われる問題、日本人が外国人とどう接していけばいいかなどを述べている。併せて、世界に難民や移民が大量に発生している現代の厳しい社会情勢についても述べている。「来るのは労働力でなく人」という意味がよく分かる。国民的意識として、われわれはその覚悟を持っているか。
- 詳細
- 作成者:NCL編集部
- カテゴリー: おすすめ本棚
そういえばこの国には一億総中流という言葉がかつてあった。実際にそういう社会だったのか、それともそういう社会をめざしていたのか定かではないが、はっきり言えることは、今のこの国の実情はそれとは遠くかけ離れてしまったということだ。「勝ち組・負け組」「自己責任」「将来不安」などの言葉に象徴されるように、気がつけば今、私たちはきびしい「格差社会」「分断社会」に生きている。その息苦しさは、いじめ、児童虐待、少数弱者への不寛容など、深刻な社会問題の温床になってはいないだろうか。本書は現代日本社会の格差問題について、どんな困った問題が起こっているか、なぜ今のような状況になってしまったか、これからどのような社会をデザインしていくか、などのことを考えるきっかけを与えてくれる。短くて読みやすい本だ。まもなく18歳で成人となる。若い世代にぜひ読んでもらいたい。
- 詳細
- 作成者:NCL編集部
- カテゴリー: おすすめ本棚
「子どものころ、わたしは毎年、母の郷里で夏休みの数日間を過ごした。その、なんでもないはずの田舎ぐらしの中で経験した幼小年期独特の奇妙なできごとを、いま記憶の底からすくいあげておこうと思う。」
児童文学者の著者は1952年生まれ。本書は著者の幼いころの記憶をもとに書かれたものだが、はたしてどこまでが本当の出来事でどこからが幻か、まさに幼い日の記憶のようにおぼろげで不思議な話の数々だ。都会暮らしの子どもにとって、母親の田舎で過ごす夏休みの日々は、妖怪や超自然現象が起こる豊かな世界だった。現代でもこの本に書かれてあるような出来事が、ふつうに語られる時代であればいいのに。
- 詳細
- 作成者:NCL編集部
- カテゴリー: おすすめ本棚