大作には違いないと思う。今までにこんな込み入った小説は読んだことがない。いくつかの賞を受賞し文学的にすぐれた作品だと、それは感じるが、正直ついていくのが大変で読みにくい作品だった。アメリカの高校に留学した16歳の少女マリに、天皇の戦争責任についてのディベートが課される。現代の若者の視点から東京裁判を問い直すという小説として面白いモチーフだ。しかし、作品は過去と未来、夢と現実を行き来し、その振れ幅がとても大きい。マリが体験する出来事、マリの内面に去来する夢・幻想・母親との関係性など・・・。もろもろのエピソードは最後の弁論に結集されていき、印象的な結末を迎えるのだが、マリの内面は深すぎて感情移入ができないのだ。
どうぞ読んでみてください。
- 詳細
- 作成者:NCL編集部
- カテゴリー: おすすめ本棚
「寝て、起きて、食べる」「寝て、起きて、食べる」のシンプルなパターンの繰り返しで動物たちを紹介している。読んでリズムのある絵本。そしてなんと言っても、第一級の動物写真家による迫力ある写真が読者の想像力をふくらませてくれる。動物の子どもたちの寝姿、食べている姿、みんな私たちと同じ生きものなんだと実感させてくれる。そんな力がすぐれた写真にはある。巻末の短い解説も要点を得ていて勉強になる。
- 詳細
- 作成者:NCL編集部
- カテゴリー: おすすめ本棚
地域拠点病院などを中心に各都道府県内をいくつかの地域に区切った医療圏域のことを2次医療圏と呼んでいる。和歌山県では7つの2次医療圏があり、当地方はそのうちの新宮医療圏となっている。日本全国にはこの2次医療圏が合わせて344あるそうだ。本書はその344の2次医療圏ごとの三大疾病(がん、脳卒中、心臓病)による死亡率を一覧にしたデータを掲載し、死亡率が高い地域の課題を明らかにしてその対策を考えようとするものである。データを見ると、和歌山県内2次医療圏の多くで、がん死亡率が異常に高いことに驚く。特に目立っているのは御坊、橋本,那賀だが、新宮も大腸がん(男性)が全国ワースト8位、肝がん(男性)同38位、全がん(男性)同33位となっている。がんに限らずどんな病気でも、死亡率を下げるにはまずもって住民の意識向上が必要だ。たとえば、受動喫煙も含めた喫煙率を下げるなど予防に努める、積極的に検診を受け早期発見に努める、がんになったら情報を集めて病院を選ぶなど、自分の命は自分で守る意識を持つことが大切だと思った。
本館では、「一般42」棚にがん関係図書コーナーを設置し、がん情報の提供をしています。
- 詳細
- 作成者:NCL編集部
- カテゴリー: おすすめ本棚