なちかつ
図書館WEB

 

◇新型コロナ感染拡大防止のために <9月1日>

①体調がすぐれないとき、発熱しているときは図書館の利用を控えてください。

②図書館へ来るときはマスクを着用してください。

③入館時には手指の消毒をしてください。

④閲覧・自習は所定の座席で行い、人との距離を保ってください。

 

 

秋の夜長・・、本読も!

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 戦争に敗れモラルの焦土と化した日本で、人々がどのようにして「国のかたち」をつくっていったかが克明に著されている。占領、冷戦、朝鮮戦争など国内外の情勢に翻弄される中、知識人、政治家、活動家、歴史学者、教師、文学者、学生、一般大衆らがどのような考えを持ち、どんな言説を残したかをていねいにたどり、戦後日本の歩みを重層的に描き出す。1000ページにせまる大著なので全巻を読み通すのはなかなか困難だが、敗戦直後の天皇論、国民的歴史学運動、戦後教育、60年安保闘争など興味関心の深い章のいくつかを読んでみる。特に印象に残ったのは天皇の戦争責任について書かれた第3章で、そこでとり上げられた一青年の日記だ。青年は当時ごく一般的だった皇国少年で出征もしたが、戦後天皇の戦争責任がうやむやにされる中、天皇への忠誠が反逆へと変わっていった。その生々しい魂の軌跡がつづられている。一般大衆はやはりそのように感じていたのだろうか。この時代のキーワードは「愛国」。国家の再生に向けてさまざまな考えを持つ人たちが、それぞれの「愛国」を掲げてぶつかり合い、戦後の社会が形成されていった。そのつぶさをたどることは読む者の人生にも重なる。

*企画展示『今こそ考えよう日本国憲法(このくにのかたち)』から 

 今から百年前、20世紀初頭のアメリカ社会をとらえた写真の数々。19世紀後半からアメリカの産業は活発になり、工場でも鉱山でも、安い賃金で雇えるたくさんの労働者を必要とした。その結果、労働者として働く16歳未満の子どもが200万人もいたという。写真家ルイス・ハインはこのような状態に心を痛め、社会の良心に訴えようと働く子どもの写真を撮り続けた。

 掲載された写真のうち表紙と105Pの写真(同じもの)は強いインパクトを放っている。紡績工場で働く少女。10歳ぐらいだろうか、お下げ髪の子が真っ正面からカメラを見据えて凜としている。写真家は「工場で働いているあなたの写真をとらせてね、カメラの方を向いてくれる?」とか声をかけたのだろう。少女は作業の手をとめ、カメラに向き直った。油で汚れた手が少女の労働を物語っている。その射るような視線、顔つきは今どきの10歳の子どもとはまるで違う。たった1枚の写真から少女の暮らし向き、その厳しさが伝わってくるようだ。その後この子はどんな人生を歩んだのだろう。幸せな生涯を送っただろうか。百年後の今日、世界中の子どもたちは子ども時代を子どもらしく生きているか。その子どもの権利を守ろうとする社会であるか。

 *特別展示「SDGsの本」から 

 戦争が終わって75年。本書は日本を敗戦に導いた昭和陸軍の失敗のメカニズムを史実に基づいて解明しようとした労作である。「自壊」という言葉から察せられるとおり、日本が諸外国との戦闘で敗れたことよりも、日本軍組織の問題点についての考察を試みる。いくつかの観点、すなわち戦争指導における戦略とガバナンスの不在、限度を超えた独断専行、統帥権の独立と軍人の政治化、大局観を欠く対外政策、等々の点から詳細な分析を行っている。一読して、「無責任」。それが当時の軍や政府の最大の病理だったと思った。その無責任が幾百万の人々を死に追いやった。

2020年 (令和2年)
9月19日(土)
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